資金繰りの難しさ|経理担当者と経営者の考え方の違い


会社にとって資金繰りは難しいものです。とても重要なことであることは誰でも知っているのですが、結果として失敗に終わってしまうことも珍しいわけではありません。

資金繰りが失敗に終わってしまう原因の一つとして、経理担当者と経営者の考え方のズレがあります。お互いに同じことを思っていると思いこんでしまい、結果として大変な自体に発展することも珍しいわけではありません。

今回は経理担当者と経営者の資金繰りに対する考え方がなぜ異なってしまうのか。さらに考え方の違いをなくすためにはどうしたら良いのか、ということを徹底解説します。

 

見ているものが異なっている

・経理担当者・・・複式簿記から資金の流れを見る
・経営者・・・入金や出金の事実からお金の流れを見る

資金繰りについては、必ず入金や出金の事実に基づいて対応をしていかなければなりません。複式簿記の感覚になってしまうと、基本的にお金の流れは仮定の話となってしまうわけです。

売上があれば売掛金や受取手形を受け取ります。しかしそれらが実際に現金として入金されるまでには一定の時間がかかってしまうわけです。すぐに入金されてくるわけではありません。もしかすると売掛金や受取手形が入金されずに不良債権化することも考えられるのです。複式簿記的な感覚では、本当の資金の流れを把握するのは難しいです。

一方で入金や出金の事実に基づいて資金繰りを行っていけば、確実な現金の流れを把握できます。要は家計簿のような感覚になるわけです。しかし、家計簿的な間隔のほうが、実際にいま企業にどれだけの資金があるのかも明らかになります。

もちろん資金繰りの管理を経理担当社が行うことが間違っているわけではありません。複式簿記では資金の流れを正確には把握できないこともある、ということを理解している必要があるわけです。理解をしていれば、より正確な資金管理もできるようになるでしょう。

 

経理担当者と経営者の考え方の違いを無くす方法

・資金の減少が起こるアクションをお互いに理解すること

資金繰りは資金が増加したり資金が減ったりすることが大きく関係してきます。まずは資金が減少する、ということはどういった時に起こるのか、ということをお互いに明確に理解しておく必要があるので確認してみましょう。

【資金が減るケース】
・売掛金が増加した
・棚卸資産が増加した
・設備投資を実施した
・買掛金を支払った
・未払金を精算した
・借入金を返済した
・余剰金が減少した
・減資した

まずは資産の増加があります。要は現金や預金以外の資産が増加する、ということは資金が減ったことを意味するのです。この点は不思議に思うかもしれませんね。

まず売掛金が増加したというケースで考えてみましょう。売掛金は一定間隔で現金化されていなければなりません。よって増えているということは売掛金の回収に問題が起こった、ということなのです。入金が遅れているのか、回収ができない状態に陥っているのかもしれません。ですから資金の減少を表しています。
棚卸資産の増加も売上が悪くなったと考えられます。設備投資に関しては現金を使って行うので、こちらはわかりやすいでしょう。

負債の減少も現金が減ることを意味しています。買掛金や未払金、そして借入金が減るということは現金で支払ったことを指しているのです。よって社内の現金は減ることになります。資金繰りが悪化する原因にもなりうるわけです。

・資金の増加が起こるアクションをお互いに理解すること

【資金が増加するケース】
・売掛金を回収した
・棚卸資産が少なくなった
・減価償却をおこなった
・買掛金が増加した
・未払金が増加した
・借入金が入金した
・引当金を繰り入れた
・余剰金が増加した
・増資した

売掛金・棚卸資産・減価償却については資産となります。その資産について減少した場合には、現金が増えるのです(現金や預金以外)。
売掛金が減ったということは、それだけ多くの売掛金が回収できている、ということになります。売掛金の現金化が効率的に行えている、と考えられるわけです。
棚卸資産も圧縮が出来ているということであれば、売上がアップしていると考えられます。さらに仕入れを減らして社内に資金を溜め込んでいる状況、ということも考えられるわけです。

負債の増加についても現金が増える一つの状況となっています。
買掛金が増加しているということは、支払い間隔(支払いサイト)が伸びている可能性があります。支払い間隔が長くなれば、当然社内にとどまっている現金量が多くなります。未払金に関しても同様です。
借入金についてはわかりやすいでしょう。借入金が増えたということは資金調達をしたということであり、会社に現金が増えたことになるわけです。

最後に余剰金や増資ですが、そもそも資本金は返済不要のキャッシュとなっているわけです。資本金が増えたということは資金繰りに良い影響を与えることになるので、資金の増加を表しています。