銀行はなぜ企業のキャッシュフローを問題視するのか


現金の流れのことをキャッシュフローといいますが、主に企業が実際に得た収入から外部に対しての支出を差し引き、手元に残るお金の流れのことを指しています。

従来までは、銀行融資などの審査でキャッシュフローはそれほど問題視される項目ではありませんでした。しかし近年では、銀行で行われる審査において、キャッシュフローに問題がある場合には融資が行われないケースも見られます。

そこで、なぜ銀行は企業のキャッシュフローを問題視し、融資における判断の基準とするのかご説明します。

 

銀行が重要視する項目はバブル崩壊前と大きく変化している

バブルが崩壊するまでは、銀行はキャッシュフローを重要視することはありませんでした。バブル崩壊前までは、銀行に対する協力度、社長の人柄や経営能力、あとは親密度などで融資を行うか決めていたとされています。

しかし現在では、銀行が企業を客観的な評価で格付けする際、重要視する部分は安全性や成長性、収益性、業界の将来性などです。

当然ですが、手元にお金がないということは、もし銀行が融資を行っても、その返済ができなくなると考えられます。そのため、キャッシュフローは銀行が事業資金を貸し付ける審査の中で、非常に問題視する項目となっています。

 

利益が出ていても会社は倒産する

売上が伸びて利益が出ていれば問題ないのでは?と思うかもしれませんが、それは表面上のことだけであり、手元のお金が不足していれば会社は倒産します。

取引が成立し、売上があがればまだ入金されていなくても、損益計算書上には売上と利益が計上されます。しかし、入金されるはずだった売掛金が入金されなかったら、従業員に対する給与、借入金の返済、仕入先や税金など、様々な支払いができなくなってしまいます。

損益計算書上では利益が出ていて、黒字なのに倒産してしまうことを黒字倒産といいますが、その主な理由は、取引先の倒産により売掛金や受取手形が回収できなくなり、連鎖倒産してしまうことです。

取引先の倒産による連鎖倒産だけではありません。売掛金や受取手形の決済期日までの期間が長くなればなるほど、その間のキャッシュフローは悪化しやすくなり、場合によっては資金ショートという状態に陥り、黒字倒産してしまう可能性も考えられます。

 

銀行はキャッシュフローで企業の返済能力を確認している

銀行も、貸したお金を本当に返すことができるかを知りたいので、対象となる企業がどのくらいのお金を手元に残しているか、年間の企業活動や財務活動でどのくらいのお金を生み出したのかをキャッシュフローで確認することを必要としています。

審査のときに銀行から資金繰り表の提出を求められることもあります。これは、企業の現在のお金の動きだけでなく、融資を実行した後でお金がどのように流れていくのか知りたいからです。

もし、銀行から融資を受けた後のキャッシュフローがマイナスになることが予測される資金繰り表を提出したとしても、返済は難しいと判断されることになるので審査に通らなくなる可能性が高いでしょう。

 

銀行に提出する決算書で問題視される部分とは

銀行は、企業から提出された決算書の中で、貸借対照表から財務力を、損益計算書からは収益力を、そして、キャッシュフロー計算書(資金繰り表)からは返済能力を確認します。

財務力とは、お金を調達して本業に投入し、お金を生み出す力のことです。貸借対照表からは、資産のうち自己資本はどのくらいあるのか、また、借入金の比率や、現金化できる資産はどのくらいあるのかを確認します。

収益力とは、企業が営業利益をあげるためにどのくらいの企業力や製品力があるかを確認します。単に売上をあげる能力ではなく、利益をあげるだけの力や仕組みなどがあるかも注目されますが、損益計算書からはどの程度の利益を出していて儲かっているかなどを判断します。

そして先にのべたように、返済能力を判断するのがキャッシュフロー計算書(資金繰り表)です。

 

儲けが少なくてもキャッシュフロー次第で借り入れできる可能性はある

手元に使えるお金がどのくらいあり、毎年、どのくらいの現金を生み出すことができるかによって、その企業の返済能力を判断します。

もしあまり儲かっていなくても、売却して現金化できる資産を多く保有していたり、すでに売却などで現金を生み出している企業なら、返済能力に問題ないと判断されて借り入れできるかもしれません。

損益計算書が赤字でも、お金が潤沢にあれば銀行から融資を受けることができるかもしれないということです。

融資を希望する額の年間返済額の合計がキャッシュフローを下回っていたのなら、銀行における審査では有利に運ぶ可能性が高いと一般的には考えられています。

そのため、銀行が重視するのは企業のキャッシュフローの状況であるといえるでしょう。

 

まとめ

銀行が審査で何をもっとも問題視するかというと、融資したお金が本当に返済されるかという部分です。その判断の材料として、企業のキャッシュフローを審査では確認します。

キャッシュフローが良好であることが、銀行からお金を借りる上ではとても大切なことなのです。

キャッシュフローが悪化しているなら、改善させる方法も検討が必要です。売掛金などの回収は早く、仕入れなどの支払いは遅く、それに加え、在庫や遊休資産は早期に処分するといったことも求められます。

保有する在庫や遊休資産の処分はできても、売掛金や買掛金は取引先も関係することなので、自らが決めることはできません。

しかし、売掛金の回収を早期に行うために、ファクタリングなどを利用することはできますので、キャッシュフローを改善させるための手段として検討してみましょう。