売掛金の支払サイトを把握しておくことが事業活動で欠かせない理由


企業間での取引などでは、先に商品を販売し、その場で現金による支払いを受けるのではなく、1か月など一定期間分の販売分をまとめて請求し、のちに代金を支払ってもらうという取引が一般的です。

このとき、後で支払われる代金は売掛金として一旦計上されることとなりますが、この売掛金が支払われるまでの期間のことを支払サイトといいます。

この売掛金の支払サイトは、企業経営にとても重要な影響を及ぼすことがあります。そこで、売掛金の支払サイトの重要性や注意しておきたいことについてご説明します。

 

売掛金の支払サイトはどのように確認するのか

売掛金が発生してから、どのくらいの期間で回収されているかを把握するために、売掛金の支払サイト(回転月数)を確認してみましょう。

売掛金の支払サイト(回転月数)を知るためには、1年間の売上高を12か月で割って算出する平均月商を把握する必要があります。

平均して1か月にどのくらいの売上があがったかをあらわす数字ですが、たとえば決算書の売上高が6,000万円の場合、平均月商は12か月で割った500万円という計算です。

さらに、貸借対照表の売掛金が1,000万円としたら、1,000万円÷平均月商500万円=2か月が支払サイトであると算出できます。

 

売掛金の支払サイトから把握できる内容

支払サイトからわかることは、売掛金をどのくらいの早さで回収できているかです。

何か月分の売掛金を保有しているのかを知ることができるので、いかに実際の現金を上手く回せているかを把握するためにも重要な部分といえるでしょう。

ただ、業種などによっては売掛金回収にはそれぞれルールや慣習などがあり、業界によって支払サイトの平均的な目安は異なります。

 

業界ごとの売掛債権の支払サイトの平均

それぞれの業種や業界による、売掛金や受取手形などの売掛債権の支払サイト(回転月数は)の平均は次のとおりですので、かけ離れた月数になっていないか確認してみましょう。

  • ・建設業 3.5か月
  • ・製造業 1.7か月
  • ・卸売業 2.4か月
  • ・小売業 0.9か月
  • ・娯楽業 0.6か月
  • ・介護業 2.5か月

たとえば介護業の場合、サービスを提供したタイミングが4月の始めでも、事業の未収金は4月分をまとめて5月に国民健康保険団体連合会に請求することとなり、実際に請求した代金が支払われるのは6月下旬です。

そうなると売掛金が発生してから回収できるまで2.5か月程かかることとなります。医療機関などでも同じ流れとなるため、その間に様々な支払いが発生すればやはり手元の資金不足に苦しくなってくるでしょう。

 

銀行融資の場面でも支払サイトはチェックされる

手元の資金不足を解消しようと、銀行などから運転資金を調達する場合には、この回転月数に大きな変動がないか確認されます。

期別による比較で、売掛金の支払サイトが急に長くなった場合、なにか売掛金を回収する上で問題が生じているのではないかと疑念を持たれてしまいます。

支払いサイトを把握し、管理することは企業経営で欠かせませんので、定期的に問題が生じていないか確認するようにしましょう。

 

売掛金の消滅時効にも注意

また、売掛金には消滅時効があるので、一定の期日を過ぎた売掛金は回収ができなくなる可能性があると理解しておくことも必要です。

特に、支払期日をすでに過ぎているのに、回収できないまま売掛金として残っている売掛債権については、時効を中断させることも含めその内容を確認しておきましょう。

 

販売・提供した商品やサービスによって消滅時効は異なる

では、どのくらいの期間、売掛金として残ったら時効が成立してしまうのでしょう。この消滅時効については、民法や商法で規定がなされています。

まず、民法の一般的な債権の消滅時効は10年とされていますが、売掛金の場合は商取引に基づいて発生する商事債権に分類されることになるため、商法により時効が短縮されて5年で時効を迎えます。

では、すべての売掛金の時効が5年なのかというとそうではなく、さらに民法で時効期間が細かく設定されていれば、そちらの規定が優先されます。

民法で定めのある債権ごとの消滅時効の期間は次のとおりです。

 

1年で時効が消滅する取引

  • ・タクシーやトラックなどの運送料金
  • ・旅館やホテルなどの宿泊費
  • ・飲食店などの飲食料金
  • ・娯楽場などの席料や入場料

 

2年で時効が消滅する取引

  • ・弁護士や弁護士法人などに対する報酬債権
  • ・公証人への債権
  • ・生産者、卸売商人、小売商人の債権
  • ・請負業者や注文制作、または理髪店やクリーニング店などの債権
  • ・生徒への教育費や下宿費用などの債権

 

3年で時効が消滅する取引

  • ・医師、助産師、薬剤師の診療債権
  • ・工事設計や施工、管理などに対する債権

 

これらに該当しない商取引による売掛金の時効期間は5年と判断してよいでしょう。

 

売掛金の消滅時効の起算日

なお、売掛金の消滅時効は売掛金の支払期限の翌日からカウントするため、起算日を間違わないようにしてください。

法律においては、初日は不算入であることが原則のため、期間を数えるときには初日はカウントしないことが一般的です。

さらに消滅してしまう売掛金の時効でも、特定の事情がある場合は時効が進むことを中断させ、それまでの時効期間は経過しなかったことにすることができます。

時効を中断させる事由として、債務者による債務承認、または債権者による請求といった方法があります。

仮に建設業などで工事代金の売掛金が支払われずに残っている場合、3年以内に取引先に裁判を起こせば、時効を中断させることが可能です。判決が確定すれば時効期間は10年になるので、時効までの期間を10年間延ばすことができるようになります。

 

まとめ

売掛金の支払サイトが長くなると、企業経営において都合のよいことは何ひとつありません。それどころか、資金繰りが悪化してしまい、手元の資金不足で支払いができず倒産の危機に追い込まれることになってしまいます。

しっかり売掛金の支払サイトを把握しておき、長期化している取引については早めに回収できるように働きかけるか、ファクタリングなどで資金を早期回収し資金繰りを改善させる方法を検討するようにしましょう。