売掛金など売掛債権の譲渡が行われる理由とは?


債権譲渡とは、債権を他に譲り渡すことをいいます。売掛金など、売掛債権を誰かに譲渡することがありますが、主に回収できなくなった債権を回収する場面で用いられます。

しかし、売掛債権を回収するために別の債権を譲渡するとはどのようなことを意味するのか、その内容は流れをご説明します。

 

もともとの債権を回収するために行われる売掛金の譲渡

もともとの債権者が保有している売掛債権を誰かに譲渡した場合、第三債務者に対して請求する権利を得るのは譲渡を受けた新しい債権者です。

このような債権譲渡の仕組みは、たとえば取引先に対しての売掛債権を所有している場合、その取引先が所有する別の会社に対する売掛債権を譲渡してもらうなど、取引先からの債権を回収することなどに使われます。

 

取引先に対する売掛金の回収の具体例

仮に取引先に200万円の売掛債権を所有しているとします。一方の取引先は第三債務者(取引先の取引相手)に対して180万円の売掛債権を所有しているとしましょう。

この場合において、取引先の財務状況が悪化するなどで売掛債権が支払われなくなったとき、取引先が所有する第三債務者に対しての180万円の売掛債権を譲渡してもらいます。

本当なら200万円を現金で支払ってもらわなければなりませんが、手元に資金がなく、調達する手段も失っている場合など、それなら180万円の売掛債権を譲渡してくれればよいと双方が合意することで代物弁済による債権の譲渡が行われるケースです。

 

代物弁済目的の債権譲渡は有利なのか

取引先から第三債務者に対する売掛債権が譲渡されると、取引先に対する200万円の売掛債権は消滅することになります。

代わりに第三債務者に対する180万円の売掛債権を得ることとなり、第三債務者に対して支払い請求が可能になるという流れです。

第三債務者から売掛債権の支払いがなされることで、もともとの200万円の売掛債権の回収を行うこととなりますが、取引先に支払い能力がなく、第三債務者の信用状態が高い場合には売掛債権を回収する上で有利になるでしょう。

 

債権が譲渡される流れ

では、売掛金などの売掛債権を譲渡する場合、どのような手続きの流れになるのか確認しておきましょう。

まず、取引先の間で債権譲渡契約を締結し、債権譲渡の合意を双方得ることとなります。

次に取引先から譲渡される売掛債権の第三債務者に対し、内容証明郵便で債権譲渡の通知を行い、第三債務者から承諾を得て確定日付を得ます。

このとき、第三債務者に対する売掛債権を所有しているのか、その債権の内容など詳しく情報を入手することが大切になります。なぜなら譲渡してもらった売掛債権も、結局また回収できなければ同じことだからです。

そして第三債務者には債権が譲渡されることを伝え、直接、売掛債権の支払ってもらうことに同意してもらう必要があります。

 

内容証明郵便を用いる理由

内容証明郵便でわざわざ第三債務者に通知を行うのは、実際にどのような内容で通知を行ったのか、その日付を記録として残すためです。

第三債務者が承諾したことを示すには、公証人役場に第三債務者からの承諾書を提出して日付印を取得すると、その承諾書が日付よりも前に作成されたことを証明することが可能となります。

なお、内容証明郵便で通知を行い第三債務者から承諾を得るという方法以外にも、債権譲渡登記を行うことでも権利関係を主張する要件に備えることができます。

 

債権譲渡登記とは

債権譲渡登記制度は債務者以外の第三者に対する対抗要件を備える制度であり、債権譲渡登記ファイルに記録されることで債務者以外の第三者に確定日付のある証書での通知が行われたとみなされます。

なお、債権譲渡登記における譲渡人は法人のみに限定されているので、個人は利用できません。

 

債権譲渡で対抗要件の備えることの重要性

債権譲渡においてこのような対抗要件に備えることはなぜ重要なのかというと、たとえば取引先の第三債務者に対する売掛債権が二重に譲渡されたことを考えてみてください。

そうなると自社だけでなく、他の債権者も同じように売掛債権を譲り受けた立場として成立してしまうこととなり、どちらが優先して支払いを受けるのかトラブルになってしまいます。

 

債権は目に見えない財産

財務状態の悪化で支払いに困り果てた取引先が、すでに譲渡した売掛債権をまた譲渡するといった状況が起きるとも考えられます。

形のある商品などなら、現物を引き渡すことで譲渡されるので、目に見えて誰が所有者なのかわかりやすいでしょう。しかし、債権は目に見えない財産なので、知らない間に二重譲渡される可能性も否定できないのです。

このような状況に陥った場合、債権の譲渡を受けた自社と他の債権者と、どちらが優先されるべきかを決めるのが確定日付です。

確定日付が先の方が債権の権利者として優先されますので、第三債務者に対する内容証明郵便での債権譲渡通知、もしくは債権譲渡における第三債務者の承諾を得ることを早く行っておいたほうが優先されると認識しておきましょう。