ファクタリングは中小企業が迅速に資金を調達するための手法として近年、注目されつつありますが、それだけでなく貸借対照表を軽くさせる資産のオフバランス化が可能となるという大きなメリットがあります。
ファクタリングにより資金を調達しても、資産の名目が売掛金から現金に代わるだけなので、銀行融資で資金を調達すれば負債が増えるので大きな違いがあります。
決算書の評価を下げたくない!向上させたいと考えるなら、ファクタリングによる資金調達をおすすめします。
ファクタリングなら負債を増やさない!
まず、ファクタリングを利用しても会計処理で負債を増やさないことは大きなメリットです。
銀行融資などで資金を調達する場合、資金を貸し付ける銀行の立場としてはなるべく負債が少ない企業に融資を行いたいと考えるものです。
もし将来的に設備投資や事業拡大などで大きな資金を必要とし、銀行融資など借り入れに資金を頼らなければならなくなったとき、審査において負債が多いと不利になってしまうでしょう。
しかしファクタリングを活用した資金調達なら、負債を増やさず安心できます。
ファクタリングを利用したときの貸借対照表や損益計算書
ファクタリングを利用したとき、そして利用しなかった場合の貸借対照表や損益計算書の違いを確認してみましょう。
例えば資本金100万円の企業が、仕入れ代金として現金で70万円支払った商品を100万円で売った場合における仕訳処理で考えて行きます。
まず、商品を仕入れる際の仕訳は、
仕入70万円 / 現金70万円
となり、100万円で売った時の仕訳は、
売掛金100万円 / 売上100万円
となります。
この売掛金を手数料20%でファクタリング利用し、その代金を受け取った場合には、
現金 80万円 / 売掛金100万円
売掛債権売却損20万円
という仕訳で処理します。
このときの損益計算書は、
売上 100万円 |
仕入 70万円 |
売上債権売却損 20万円 |
当期純利益 10万円 |
となり、貸借対照表は、
現金 110万円 | 資本金 100万円 |
当期純利益 10万円 | |
売上債権売却損 20万円 | |
当期純利益 10万円 |
となります。
反対にファクタリングを利用しなかった場合の損益計算書は、
売上 100万円 |
仕入 70万円 |
当期純利益 30万円 |
となり、貸借対照表は、
現金 30万円 | 資本金 100万円 |
売掛金 100万円 | |
当期純利益 30万円 | |
売上債権売却損 20万円 | |
当期純利益 10万円 |
となるため、貸借対照表と損益計算書上での大きな違いを理解できることでしょう。
ファクタリングを利用したほうが、貸借対照表が軽くなり、負債や資産を少なくスマートにさせることができます。
この資産のオフバランス化は、ファクタリングでは手数料(売上債権売却損)が支払われることが大きく関係しますが、その一方で支払う手数料により、収益が落ちるというデメリットもあることを理解しておきましょう。
キャッシュフロー改善で資金繰りを改善
決算書の中に含まれる書類は貸借対照表と損益計算書だけでなく、もう1つ忘れてはいけないのがキャッシュフロー計算書です。
キャッシュの増減の原因を把握する上で重要な書類ですが、一目みてその流れを把握できる理由は、キャッシュフロー計算書が大きく3つの流れに分けられ記載されていることが関係しています。
キャッシュフロー計算書の3つの区分
キャッシュの流れを掴むためにも、その3つのキャッシュフローがあらわす内容を把握しておくようにしましょう。
営業活動によるキャッシュフロー
企業本来の事業において発生したキャッシュの流れをあらわします。
投資活動によるキャッシュフロー
設備投資など事業活動を続ける上で必要な投資活用によるキャッシュの流れをあらわします。
財務活動によるキャッシュフロー
事業を借り入れなどで調達したことによるキャッシュの流れをあらわします。
ファクタリングを利用した場合
ファクタリングを利用した場合は、キャッシュフロー計算書にどのように記載されることになるのでしょう。
ファクタリングを利用すれば、売掛金は減少し現金が増えます。
この流れは、営業活動によるキャッシュフローで資産の増加として示されます。
仮に銀行融資を利用した場合には、財務活動によるキャッシュフローで資金の増加が示されます。
本業による活動でキャッシュを増やしたほうが、決算書での評価を高めることになりますので、借り入れよりもファクタリングにより資金を調達したほうが、キャッシュフローを改善させることに繋がるということです。
まとめ
ファクタリングを利用することで、決算書の評価を高めることが可能であることの理由をご説明しました。事業を営んでいれば、急いで資金を必要とする場面に遭遇することもあるでしょう。
ただ、将来的に事業規模を拡大させたいと考えている場合や、設備投資などを必要とする場面で銀行融資による資金調達を希望するのなら決算書の評価は重要です。
そのため必要な運転資金などを銀行やノンバンクからの融資で得るのではなく、ファクタリングからの調達を検討してみてはいかがでしょう。