支払いサイトの意味|資金繰りに影響を与える理由とは


取引代金の締め日から、代金が支払われるまでの期間を支払いサイトといいます。事業を営む上で、この支払いサイトの長短が資金繰りに影響を与えることが多いため、取引を始める段階でできるかぎり自社に有利な条件で契約を結んだほうがよいはずです。

そこで、支払いサイトとはどのような意味を持つのか、資金繰りになぜ影響を与えてしまうのかを知り、資金繰りを改善させるために何が必要か把握しておくようにしましょう。

 

支払いサイトとは

商取引において、商品やサービスを販売・提供したときの請求方式には、締め方式と都度方式があります。

 

都度方式であれば、商品やサービスの受け渡しや提供ごとに代金を請求することになりますが、締め方式の場合は一定期間ごとに締め、その期間分をまとめて請求することになりますので、いつからいつまでの締め分をいつ支払うのか、契約当初に取り決めておくことが必要です。ここで決めた、支払い日までの期間支払いサイトといいます。

 

支払いサイトはどのように数える?

支払いサイトを考える場合、たとえば月末締め翌月払いという場合の支払いサイトは約30日です。月末締め翌々月払いであれば60日の支払いサイトであるといえます。

 

支払いサイトは取引先と契約を締結する段階で取り決めることになるでしょうが、この決め方を間違ってしまうと資金繰りは悪化します。

 

支払いサイトは販売価格にも影響する?

取引先と販売契約を結ぶとき、様々な条件を設定することとなるでしょう。たとえばいくらで販売するのかという売値ですが、商品の原価、仕入れにかかった費用、販売するまでにかかる諸経費、それに上乗せされる利益などを総合していくらで販売することがよいか判断することとなるでしょう。

 

市場価格や販売戦略などによっても変わるでしょうが、支払いサイトも販売価格に影響を与える要素です。自社に都合のよい代金の回収条件で交渉するのなら、その分、販売価格を下げるといった方法も用いられます。

 

ただ、早期で回収することばかりに意識が集中してしまうと、販売価格を下げ過ぎて思うように利益を生まなくなる可能性もありますので注意しましょう。

 

自社に有利な支払いサイトを設定するために

自社が商品やサービスを販売・提供する側であれば、支払いサイトはできる限り短いほうが有利です。

 

早期に売上代金の回収ができれば、事業を営む上で発生する様々な支払いに充てる資金を滞ることなく準備することができます。仮に掛け取引で売掛金が発生し、回収されないまま残っていても事業を継続する限りは固定費など支払いを続けることになります。

 

仕入れ、製造コスト、在庫管理コスト、人件費、外注費、借入金の返済、家賃・水道光熱費など、業種によって毎月発生する支払いはことなるでしょうが、いずれも売上代金が入金されるよりも前に支払いのタイミングが訪れます。

 

売上は上がっていて決算書上は利益も出ているのに、支払いに充てる資金がなければ資金繰りに行き詰まり、黒字倒産してしまう可能性もあると理解しておいてください。

 

反対に自社が買い手側の場合は?

自社が売り手側であれば支払いサイトは短ければ短いほうがよいですが、反対に買い手側の場合には長ければ長いほどよいということになります。

 

販売した代金の回収よりも、先に仕入代金の支払いが発生してしまうものですが、回収した売上代金を仕入代金の支払いに充てることができれば資金繰りは悪化しないはずです。

 

そのため、材料などを仕入れたときに発生する買掛金の支払いは、できるだけ遅らせることができたほうがよいといえますので、この場合の支払いサイトは長めに設定したほうが有利となります。

 

ただ、自社が販売側のときと同様、支払いサイトを早めに設定して有利な買値で取引をするなど、金額交渉に結びつけることも可能です。支払いサイトと取引金額のどちらを優先させたいのかにより、支払いサイトの設定を検討しましょう。

 

いずれにしても最初が肝心!あとで変更は難しい

取引先と支払いサイトを決める場合、自社が売り手側でも買い手側でも、契約当初の取り決めが非常に重要になります。一旦契約を結んでしまうと、後でやはり変更して欲しいと思ったとしても難しいことが多いからです。

 

仮に市場価格が変動したことで、販売価格の変更を要請することはできたとしても、支払いサイトは一度決まった期間を特別な理由もなく変更してもらえることはないはずです。

 

自社が売り手側で、支払いサイトを短くしてほしいと取引先に申し入れたとしたら、取引先は資金繰りに困窮し経営不振に陥った企業であると不安を煽る可能性があります。

 

そうなるとその後の取引を続けてもらえなくなったり、取引量を制限される可能性もありますので、後で変更の交渉を行わなくてもよいように最初が肝心であると認識しておきましょう。

 

支払いサイトを踏まえた回収システムの確立を

支払いサイトは売る側と買う側、それぞれの希望通りになればよいですが、そのとおりにはならないこともあります。そのため、支払いサイトも踏まえて健全な経営を行っていくのなら、回収システムを確立させておくことが必要です。

 

それによって回収をスムーズに進めることができれば、回収におけるリスクを最小限に抑えることが可能となります。企業の経営の資源として挙げられるヒト・モノ・カネについて、これらを目的に合わせながら合理的に管理する経営管理は事業を続ける上で欠かせないことです。

 

その経営管理を補助するシステムの中にあるのが売掛金管理なのです。

 

売掛金管理は独立して行うこと

売掛金以外にも、販売・在庫・生産・購買・財務など、管理を必要とする項目はいろいろあります。

 

この中で売掛金管理を適切に行えば、販売代金を確実に回収することが可能となりますので、支払いサイトを伸ばされることはなくなるはずです。

 

そして売掛金を遅れることなく回収できるようになれば、仕入れ代金、固定費や諸経費の支払い、在庫確保、商品の販売などもスムーズに行うことができるようになります。

 

売掛金の管理を行う上で、販売や財務の管理に含めて行っているケースもあるようですが、確実にいつ発生し回収できているか把握するためにも、売掛金管理はこれらの部門から独立させて行うようにしてください。

 

売掛金管理は取引先の与信管理にも重要

売掛金管理を適切に行う上で、代金の未回収を放置しないことを目的とする以外に、取引先の信用力を確認することも含まれます。

 

もし取引先の資金力が低下しており、経営難に陥っていることで売上代金の支払いが遅れているのなら、その後の取引も見直すことが必要です。

 

支払いが遅れている状態でこれまでと同じように取引を続けてしまうと、仮に取引先が倒産してしまった時には回収できない不良債権を抱えることとなり、最悪の場合自社も連鎖倒産する可能性があります。

 

そのようなリスクを防ぐ上でも、取引先の与信管理は必要なことですので、発生している売掛金が適切に期日内に支払われているか確認していく作業が必要です。

 

営業担当者との連携も必要

売掛金を遅れることなく回収していくためにも、回収する上で必要なことを確認しておきましょう。

 

まず売掛金管理では、その取引先との窓口となる営業担当者と連携し、取引先の社内の雰囲気や動きなどの情報を入手しておくことをおすすめします。取引先が現在どのような状況にあるのかは、実際に取引先とかかわることが多い営業担当者がもっとも詳しいはずです。

 

信用情報機関などから情報を得るだけでなく、実際の現場の雰囲気や動きを営業担当者が感じ取ることで、知りえなかった情報をキャッチできる場合もあります。

 

問題が起きてからでは発生している売掛金の回収は困難になってしまいますので、平時から常に営業担当者と連携した与信管理を行うように心がけましょう。

 

営業担当者にも与信管理の重要性を理解してもらうこと

営業担当者としては、多く売上を上げることに専念しがちです。そのため、新規の取引先を獲得しようと、自社に不利な条件で契約してしまうといったこともあるかもしれません。しかしそれでは結果として資金繰りを悪化させることになりますし、やみくもに新規契約を取ろうと動くことで、経営不振に陥っている企業と契約してしまう可能性もあります。

 

そのため、ただ契約を取り商品を販売すればよいだけでなく、その代金を回収するまでが一連の業務であると認識してもらい、売掛金の回収システムを常に意識した営業活動を行うように徹底していきましょう。

 

売掛金の回収がうまくいかないときは?

もし売掛金の回収がうまくいかず、事前に決められた支払いサイトで回収できないという場合には、何に問題があるのでしょう。与信管理も行っていたはずなのに、取引先の財務状況を把握できなかったことが原因なのでしょうか。

 

この場合、景気がよいときの与信管理を鵜呑みにしてしまい、いざ景気が悪くなったときのことまで考えていなかったことが原因となる場合もあります。景気の動向に左右されることなく、期日を守って支払いを適切に行ってくれる企業もあれば、そうでない企業もあるのです。

 

景気が悪くなっても売掛金を回収できるように、景気が良いときにこそ社内体制を確立しておくようにしてください。

 

営業戦略に問題がないか確認を

売掛金の回収がスムーズにいかないのは、もしかしたら営業戦略や方針に何か問題があるのかもしれません。

 

販売している商品が競争力のないものだったり、営業戦略そのものに欠陥がある場合は、売上は伸びず、営業担当者も取引先の状況を見極める余裕を失います。

 

まずは目標の売上を達成しなければ!と売上を上げることばかり考えるようになり、信用調査をしっかり行うことなく新規契約してしまったり、適切でない支払いサイトを設定してしまったりするのです。

 

そもそも営業担当者の売掛金管理の重要性に対する意識が低い場合、とにかく売ることが仕事と考えるようになるので、適切な売掛金回収に結びつかなくなってしまいます。

 

信用管理体制に問題がある場合

信用管理体制は整備されているでしょうか。管理担当者と営業担当者が連携できていないことで、管理担当者はコンサルタントなどのアドバイスによる与信管理基準をもとに管理を行っているのに対し、現場に足を踏み入れ情報を入手する営業担当者は、その与信管理の基準を理解できておらず適切な管理を行えていないという場合もあるようです。

 

営業担当者が与信管理の基準を理解できていなければ、何を目安に取引先のリスクの高さを判断すればよいのかわからなくなってしまいますので、売掛金回収が困難になったり、必要以上の与信限度額で取引を行ってしまったり、さらには長い支払いサイトで契約してしまうといったことが起きてしまうのです。

 

売掛金を長い支払いサイトで契約してしまったら

もし売掛金の支払いサイトが長めに設定されており、売上代金を回収するまで時間がかかりすぎているという場合、その間に発生する支払いに充てる資金が不足する場合もあります。

 

この場合、ファクタリングで支払いサイトを早期化させることを検討してみてはいかがでしょう。ファクタリングとは、保有する売掛金をファクタリング専門業者に売却し、支払いサイト後の期日よりも先に現金化させる手法です。入金期日を待たずに売上代金を得ることができるので、不足した資金を調達する方法として利用することができます。

 

また、融資を受けるわけではないので、ファクタリングを利用する上でも審査は行われますが、その内容は売掛金の相手先である取引先の信用力が重視されます。

 

そのため、取引先の信用力が低いと判断された場合には、利用で発生する手数料が高めに設定されたり、買い取りできないと断られることになりますので、与信管理における取引先の信用調査でもファクタリングの活用は可能ということになります。

 

取引先が倒産して売掛金が回収できなくなっても大丈夫!

ファクタリングで売掛金を前倒しで回収できるのは嬉しいけれど、仮に取引先が倒産してしまい、本来の期日に売上代金の回収がされなかった場合には、ファクタリング会社からその代金の弁済を求められるのでは?と思うかもしれません。

 

しかし、ファクタリングはこの償還請求権はない契約が一般的なので、取引先が倒産して売掛金の回収ができなくなったとしてもその責任を負うことはないのです。

 

他にもファクタリング会社によっては、コンサルタント業務も行い、どのように資金繰りを改善させていけばよいか相談にのってくれるなど、多岐に渡るサービスの提供を行っている場合もあります。

 

まとめ

商取引において最初に決めることになる支払いサイトはとても重要で、一旦決めてしまうと後で変更しにくいことを理解しておきましょう。

 

支払いサイトは自社が売り手側と買い手側、どちらかによって長いほうがよいか短いほうがよいか異なります。

 

有利な支払いサイトであることが望ましいですが、支払いサイトにこだわりすぎれば取引における単価が不利になる場合もありますし、反対に単価にこだわりすぎれば支払いサイトが不利になる可能性もあります。

 

資金不足に陥り利益が出ているのに倒産してしまうといった黒字倒産に陥らないためにも、適切な支払いサイトと単価を見極め、自社に有利な取引に運ぶことができるようにしておきましょう。

 

また、もし売掛金の支払いサイトを長めに設定してしまった場合には、ファクタリングを利用することで短期化させることが可能です。急な資金の調達にも活用できますし、与信管理にも利用することができますので、上手に活用して円滑な経営を続けるようにしてください。