中小企業の有効な資金調達の方法として、少しずつ周知されてきたファクタリングですが、残念ながら一部悪質な取引を行う業者も存在しています。
粗悪な対応や法外な手数料を請求するといったことに加え、売掛金の売買=ファクタリングとみせかけた金銭の貸付など、悪質な業者の違法な行為は問題視されているところです。
特にファクタリングを装い金銭の貸付を行うケースでは、実際に逮捕された悪質業者も存在しているため、騙されないように注意が必要です。
悪質業者を避け、信頼できるファクタリング会社と契約するためにも、どのように正規で優良な業者か判断すればよいのかご説明します。
利用者が悪質な業者に騙されてしまう理由
ファクタリングとは、企業など事業者が保有する売掛金をファクタリング会社に譲渡し、売掛先からの入金期日より先に現金化させて資金調達するサービスのことです。手形を売却する手形割引と同様に、手数料を支払って期日を前倒しすることができます。
融資を受けるときのように担保や保証人は必要ないことがメリットであり、売掛先からの入金サイトを短縮できる方法です。ただし売却する売掛金は数千万円以上という場合もあり、金額が高い債権の売買では極めて慎重に取引を行うことが必要といえます。
慎重にファクタリング会社を選ぶためには、業者ごとにじっくりと相談し話を進めていきたいところでしょうが、資金調達にファクタリングを利用する事業者のほとんどは急いで手元にお金が欲しいと考えています。
そのため一刻を争う事態に陥っている中、ゆっくりファクタリング会社を見極める時間もなく、ひとまずインターネットのホームページで内容がよさそうなところと契約してしまうことがあるようです。
実際、正規のファクタリング会社でも即日現金化を可能とするケースもあるため、ホームページに「最短即日対応可能」といった文句が記載されていても悪質な業者とも限りません。
しかし実際に問い合わせしたとき、対応が異なるものだった場合や、提出書類などなく早く契約させようとするケースは怪しいと考えるべきです。
ファクタリング利用希望者の足元をみて営業してくるケースも
悪質な業者の場合、ファクタリングの利用者が窮地に追い込まれていることを理解した上で、最大限に手数料を引き出そうとします。
たとえばすぐに伺うと伝えてきたのにわざと到着まで時間をかけ、時間が足らなくなることで利用者が焦りはじめ、急いで契約することを見込むケースもあるようです。
悪質な業者は先に申し込みや面談に繋げてしまえば、後は強引に成約させることができると考えているため、強引な勧誘で契約させられてしまう可能性も否定できません。
悪質な業者と契約を結んでしまわないために
悪質な業者と契約してしまわないことが前提ですが、万一取引してしまったときには弁護士や最寄りの警察に相談するようにしましょう。
そして悪質業者に騙されないために、まずはファクタリングを利用した際にかかる手数料を把握しておくことが大切です。
ファクタリングの手数料は2社間10~20%・3社間1~5%程度であることが一般的で、2社間は利用者とファクタリング会社、3社間はそれに売掛先が加わり契約をします。
2社間か3社間のどちらを選ぶかによっても手数料は大きくかわりますし、売却する売掛債権やその金額、売掛先の信用力などによって設定される割合は前後すると認識しておいてください。
なお正規で優良なファクタリング会社と契約すれば10%程度の手数料で取引できた場合でも、悪質業者と契約すれば30%や40%の手数料を請求されてしまいます。
悪質な業者に騙されないためには、まず売却予定の売掛債権がいくらで売れるのか相場を知ることが必要ですので、複数のファクタリング会社に買取金額の見積もりを提示してもらうことが必要となるでしょう。
手数料が安く設定されている場合でも、別途諸費用がかかったり長期契約を求められたりというケースもありますので、発生するコストの総額でファクタリング会社同士を比較することが望ましいといえます。
悪質な業者がファクタリングで契約を結ぼうとする対応
悪質な業者とファクタリングをめぐり、起きたトラブルの内容から具体的にどのような手口が行われているか確認しておきましょう。
ヤミ金融業者がファクタリング会社を装い違法融資を行う
ファクタリングは売掛債権の売買契約を結ぶ取引のため、ファクタリング会社は貸金業登録を行う必要はありません。
しかしファクタリングを装い、金銭の貸付を行おうとする悪質な業者も存在します。本来、貸金を業とするのなら貸金業登録が必要ですが、表向きはファクタリングを装っているため当然、無登録であり設定される表向き手数料とする金利も違法な割合で設定されます。
貸金業登録をしていないヤミ金融業者から融資を受ければ、十分な資金を調達できないだけでなく返済に追われ事業継続が難しくなってしまうでしょう。
2017年から2018年にかけ、このような悪質なヤミ金融業者は複数摘発されました。そのため以前よりは違法な貸付を行う悪質業者は減少しているものの、注意が必要です。
ホームページに掲載されている内容が嘘ばかり
ホームページには本社の所在地など記載されているのに、実際にその場所に行くとオフィスが存在しないという悪質なケースもあります。このような悪質業者は、直接ファクタリング利用希望者と会おうとせず、電話口だけで取引を進めようとします。
面談の際にも来客対応できるオフィスは存在しないため、近隣のカフェなどを指定してくるというパターンです。
もしホームページの所在地を確認したとき、ビルならフロアや部屋の番号まで明記されていないケースは要注意といえます。中にはレンタルオフィスを使用する悪質業者もありますので、所在地に本当にオフィスがあるのか確認が必要です。
強引に勧誘し契約しようとする
コンプライアンスに違反するような強引な勧誘を行い、無理に契約させようとする悪質な業者も存在します。
従業員の給料は完全歩合給という場合など、問い合わせ件数が少ない業者で稼ごうとすれば、意地でも契約に結びつけることが必要になるからでしょう。
安い手数料を提案され、対応もとても丁寧なので安心できると感じていたのに、いざ契約段階になると当初の手数料が跳ね上がり対応も雑になったというケースもあるため注意してください。
悪質なファクタリング会社か見分ける方法
悪質な業者の場合、見積もりや提案などの際に次のような特徴が見られます。もし契約を結ぶ上で不安を感じる場合は締結せず、他社に相談してみることも必要です。
見積もり段階と契約直前の手数料が異なる
本来、ファクタリング会社に見積もりを提案してもらうと、どのくらいの費用がかかるのか事前に教えてもらえます。
しかし契約前は口約束程度の見積もりで、いざ契約段階になると伝えられた金額とは大きく異なる法外な手数料を請求してくる悪質業者もいますので注意してください。
買取代金がファクタリング業者からすぐに支払われない
売掛債権をファクタリング会社が買取った場合、その代金は利用者が指定する口座に振込まれることがほとんどです。
しかし理由をつけて振込期日を延期するといったケースは、怪しい業者と疑うべきといえます。
悪質な業者は契約書の控えを渡さない
ファクタリング契約を結んだときには、作成された契約書の控えをファクタリング会社から渡してもらえるはずです。
しかし控えをもらえない場合や、そもそも契約書自体が存在しないという場合は、どのような契約を結んだのか証拠として残りません。必ず契約書の控えは受け取るようにし、控えを渡してもらえない業者とは契約しないようにしてください。
契約書の内容を説明してもらえない
はじめてファクタリング契約を結ぶ場合、契約書をひと通り読んでも意味の分からない言葉が出てくることもあるでしょう。
担当者に意味が理解できない部分は説明を求めることが必要ですが、悪質な業者の場合は曖昧な説明しかしてもらえません。
利用者に不利な条項などが盛り込まれている可能性もありますので、しっかりと契約書の不明な部分を説明してもらえない場合は危険と判断するべきでしょう。
まとめ
ファクタリングは優良な業者と契約すれば、柔軟な審査で資金繰りを改善できる便利な資金調達方法として活用できます。
しかし悪質業者と契約してしまうと、せっかく資金調達に活用するはずが反対に余計な費用を取られてしまうことになります。
ファクタリングで資金調達するときには、売却する売掛金の相場を知ること、信頼できるファクタリング会社と契約することが必須要件といえます。
もし複数のファクタリング会社に見積もりを依頼したい場合や、業者同士を比較した上で検討するのなら、手間なく評判のよい優良業者から一括見積もりを取得できる当サイトを活用してください。
ファクタリング業界は規制や法律が整備されておらず、悪徳な詐欺に遭うリスクもあることを踏まえ、信頼できる業者と契約することが大切です。