民法改正がファクタリングに与えた影響とは?


2020年4月、120年ぶりに民法改正が施行されましたが、ファクタリング業界にも大きな影響を与えることとなりました。

民法が改正された理由は法律の内容が時代に合わなくなってきたからですが、ファクタリングに関係する債権法も見直しされていますので、その内容を徹底解説していきます。

 

民法が改正された理由

そもそも民法とは私法の一般法を定めた法律であり、権利・義務関係を規律するためのものです。

100年以上も前に作られた法律のため、明記のない部分は解釈が難しいといった問題が起きていましたが、改正・施行により新たな分野にも対応できるようになりました。

そしてファクタリングにもこの民法の改正は影響を与えることとなりましたが、これまで利用の妨げになっていた債権譲渡禁止特約が見直しされたことは大きいといえます。

 

ファクタリングの妨げとなっていた債権譲渡禁止特約とは?

債権とは、特定の人に対し特定の行為や給付など請求できる権利を指しています。

ビジネスではお金を借りた人を債務者、貸した金融機関などを債権者といいますが、このように金銭の貸借などで使われることが多い言葉です。

債権にもいろいろな種類がありますが、資金調達に活用するファクタリングでは、売掛金という売掛債権をファクタリング会社が買い取って現金化させます。

しかし取引先との契約で、債権に対し債権譲渡禁止特約が付されている場合には、ファクタリング会社はその債権を買い取ることが不可とされていました。

債権譲渡禁止特約とは、事業者間で契約を結ぶ際に契約事項に盛り込まれることが多く、債権が第三者に移ってしまうことを阻止することを目的として付されます。

第三者に債権が渡ってしまうと、たとえば反社会勢力やヤミ金融業者が権利を持つこととなり、様々なトラブルが発生することが予測されるからです。

しかし債権譲渡禁止特約が付されていると、当然譲渡が禁じされているためファクタリング会社は買い取りができなかったのですが、今回の民法改正によりこの特約に対する扱いも見直されています

 

民法の改正でファクタリングが利用しやすくなった?

ファクタリングの利用を希望していることが多いのは中小企業であり、特に2社間ファクタリングへのニーズは高いといえます。2社間ファクタリングは取引先に売掛債権をファクタリング会社に譲渡する事実を知られることなく、売掛金を現金化させ資金調達ができるからです。

しかし債権譲渡禁止特約が全面的に撤廃されれば、自社が取引先に対し売掛先だった場合、トラブルが発生しないか不安になってしまうでしょう。

ただ民法改正では譲渡禁止だった債権が譲渡制限債権に変更されており、債務者(売掛先)は譲渡人に弁済することにより譲受人への対抗が可能というか使いに変わっています。

売掛先は通常通り、ファクタリング利用会社に対し支払いを行えば、ファクタリング会社に対して対抗措置を取れるということです。

 

なぜ債権譲渡禁止特約が付されるのか

債権の譲渡を禁止するその背景には、譲受人となる相手の信頼性が確認できないことに加え、支払先が煩雑になることを避けたいからです。

特に大手企業の場合、債権が反社会的勢力に譲渡されてしまうとコンプライアンスに影響してしまうため、この特約を付帯したがる傾向が見られます。

 

債権譲渡禁止特約は無効として扱われることに?

民法改正によって、債権譲渡が禁止・制限されていたとしても債権譲渡は成立するとされたため、債権譲渡禁止特約は無効となることが大きなポイントです。

特約有無に関係なく債権譲渡の効力は保証されるので、ファクタリング会社も債権譲渡特約が付されている債権を安心して買い取ることができるでしょう。

しかし債務者(売掛先)は譲受人となるファクタリング会社に対して直接支払いを行うことを拒む権利も与えられています。

そのため、ファクタリングを利用した後でも売上代金を回収するのはファクタリングを利用した会社となり、実務的にはこれまでの2社間ファクタリングの回収の流れとなります。

 

まとめ

ファクタリング業界にとっても、120年ぶりに改正された民法の影響は大きいといえますが、ファクタリング契約の大きな妨げとなっていた債権譲渡禁止特約に対する扱いが変更されています。

企業の規模が大きくなるほど、債権譲渡への制限を設けることが多いため、ファクタリングで資金調達したくても特約が邪魔をするといったケースも少なくありませんでした。

しかし大きな足かせとなっていた債権譲渡禁止特約が付されていても、ファクタリングで資金調達することは可能です。

ファクタリング業界にとって大きな転機となった今回の民法改正ですが、債務者となる売掛先にもファクタリング会社に対し直接支払うことを拒否する権利はあります。

よって、実際には従来の2社間ファクタリングによる売掛金回収の流れが保たれることとなることは認識しておく必要があるでしょう。