製造業は資金繰りが悪化しやすいという悩みを抱えやすい理由とは?


製造業といえば工場などの現場で働いているイメージが強いでしょうが、実は様々な悩みを抱えています。

製造業にも家電・自動車・食品・衣料などいろいろな業界があるため、悩みもそれぞれですが新型コロナウイルス感染拡大による影響を受けていることは共通しているといえます。

そこで、具体的に製造業ではどのような悩みを抱えているのか、解決するために必要なことを徹底解説していきます。

 

新型コロナによる影響前から人材不足に悩みを抱えている

国内製造業の業績は、売上高と営業利益とも増加傾向であるなど好調でしたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で少々状況は変化しています。

従来からの製造業の悩みとして挙げられるのが、人材不足により生み出される問題です。

中でも技能人材を確保することが難しく、今後はロボットや自動機などを導入し、省人化や自動化を図る動きが活発になると考えられます。

他にもAI・IT・IoTなどを使って業務を合理化させるなど、人材確保に悩みを抱えている企業ほどこれらの取り組みを重視するようになるでしょう。

 

製造業は資金繰りが悪化しやすい

そして製造業のかかる悩みは、人材が不足しているだけではありません。

多くの企業が資金繰り悪化に陥りやすい環境にあることに悩みを抱えていますが、その理由は様々です。

製造業が資金繰りに行き詰まってしまう理由として挙げられるのが、中小・零細の製造業の場合には資本が少ない上に先に設備投資や仕入れが発生し、その後で売上が上がり売掛金が入金されるという先行投資型であるからです。

先行投資型で企業経営する場合には、設備投資や仕入れに必要な資金は銀行融資などから調達することが一般的といえます。

しかし繁盛しなければ返済に生きとどまることとなり、繁盛したとしても設備投資の追加や仕入れ増加により資金不足に陥りやすい状態が続きます。

企業経営がうまくいってもそうでなくても、資金は常に必要となる構造であることが中小・零細の製造業の大きな悩みといえるでしょう。

 

製造業で資金繰りの悩みが尽きない理由

実際に製造業の資金繰りはどのような流れになるのか、なぜ悩みが尽きないのか数字を使って確認してみましょう。

まず一般的な製造業の例として、次のような損益の製品を製造する企業があるとします。

売上 1000万円(出荷して1か月後に入金される)
材料費 200万円(仕入れ1か月後に支払いが必要)
人件費 300万円(当月支給)
経費 200万円(仕入れ1か月後に支払いが必要)
利益 300万円

なお出荷される製品は、生産して1か月に在庫となった後とします。

この例に挙げた一般的な製造業の場合、資金は最大でどのくらい準備しておけばよいか考えてみましょう。

1か月目は人件費の支払い分に充てるお金が手元にないため▲300万円となりますが、2か月目になると「材料費200+人件費300+経費200=合計700万円のマイナスです。

しかし3か月目になると2か月目に出荷した売上代金が入金されるため、「売上分の入金1000-材料費200-人件費300-経費200=合計300万円」のプラスが出ます。

このように考えると、2か月目に累計1000万円のマイナスとなるため、資金調達は1000万円必要といえます。

すべての資金が回収されるのは6か月目となり、最初に設備投資が必要となることを考えると、実際に資金調達しなければならない金額はもっと高額になります。

 

製造業は多額の運転資金が必要になりやすい

上記の一般的な製造業の設定では、1000万円の売り上げに対し300万円の利益を生むことができますが、この場合でも多額の運転資金が必要です。

このような資金繰りのカラクリを把握できていないと、売上を2倍にするためすべての経費も2倍にし、値段を1割カットするといった取り組みに走ってしまいます。

仮に上記の例で売上を2倍にする取り組みを行った場合には、1か月目は人件費分が▲600万円となり、2か月目には「材料費400+人件費600+経費400=合計1400万円のマイナスです。

そして3か月目には売上代金が入金されるため、「売上入金1800-材料費400-人件費600-経費400=合計400万円のプラスとなり、4か月目も同じです。

2か月目には累計2000万円マイナスとなるため、すべての金額を回収可能となるのは7か月後であり、資金調達ができなければ会社は倒産してしまいます。

事業を継続する上で大切なことは、手元の資金をショートさせないことです。赤字が続いていたとしても、手元のお金が尽きなければ会社は倒産しませんので、資金繰りを悪化させないことは会社経営で非常に重要なことと留意しておく必要があります。

 

価格競争や値引き要請でさらに資金繰りの悩みは拡大

製造業では資金繰りが厳しくなりやすいという環境に加えて、海外製品との価格競争に発注先から激しい値引き要請などを受けることとなり、利益が減少してしまうことも悩みといえます。

さらに発生している売掛金の回収が遅れ、滞留在庫は増え、過大な設備投資の要請や無計画な借入金増加なども経営状況を悪化させる原因になっているといえるでしょう。

 

まとめ

中小・零細の製造業の悩みはいろいろですが、中でも資金繰り悪化が一時的なものではなく、恒常的な問題になっているというケースは深刻です。

一刻もはやくその状態から脱け出し、資金繰りを改善させていくことが必要ですが、なぜ悪化しているのかその原因を正確に把握した上での対策が求められるといえます。