長引くコロナ禍で会社が倒産したときに経営者に及ぶ影響とは?


東京商工リサーチの調査によると、会社が倒産すると経営者の約7割は個人破産に追い込まれていることがわかっています。

政府は経営者保証を解除するよう進めるものの、金融機関から新規融資の6~7割に経営者保証が付いているのが現状で、会社の倒産と同時に経営者も破産してしまうことは避けられない状況です。

そこで、今後会社が倒産してしまったときに経営者も共倒れとならないように、なぜこのような状況に陥ってしまうのか把握しておきましょう。

 

会社が倒産しただけで済まされない

中小企業の経営者は会社の債務の連帯保証人になっていることが多く、もし会社が返済できなければ連帯保証人である経営者が債務を負うことになります。

もし会社が倒産してし、経営者が代わりに返済できなければ、自己破産して裁判所に免責許可を決定してもらい、債務の支払義務を免れる手続を行わなければならなくなるでしょう。

自己破産の申立てを行わず免責もされていなければ、いつまでも連帯保証人として会社の借金を返済しなければならない義務を負い続けます。

もし会社が倒産という事態に追い込まれたときには、同時に経営者個人も自己破産の申立てが必要になるということです。

 

自己破産したときに経営者の資産はどうなるのか

もし会社の倒産と同時に経営者も自己破産した場合には、所有する土地や建物などの不動産の他、売却・換価したとき1点20万円を超える財産は破産管財人が回収することになります。

そのため持ち家なども現金に換え債権者への支払いに充てなければならず、住むところがなくなるのなら賃貸物件などに引っ越すことが必要となるでしょう。

ただしすべての資産や財産を失うわけではなく、自由財産とされている次の資産は回収されることはありません。

  • ・破産手続を開始してから取得した財産
  • ・99万円までの現金
  • ・生活必需品とされる家財道具

また、家族名義の財産は提供しなくてもよいですが、実質的に経営者の財産と認められるときには回収される可能性があります。

 

破産手続で仕事や生活に及ぶ影響

破産手続を進めていく上で注意したいのは、就ける仕事が制限されることです。

就職や新事業を立ち上げることに対する制限はありませんが、免責決定されるまでは次の資格を一時的に失います。

  • ・弁護士・税理士など士業としての資格
  • ・宅地建物取引士の登録
  • ・証券会社外務員や保険外交員の登録
  • ・警備員

他にも制限を受ける資格があるため、事前に確認しておくことが必要です。

会社が倒産したり個人が破産したりした場合でも罰則が科せられることはありませんが、信用情報機関に事故情報として登録されるため、金融機関からお金を借りることもクレジットカードを利用することもできなくなります

個人が自己破産したときの事故情報が解除されるまで10年程度かかるため、その期間は何をするにも現金による支払いが必要になると認識しておきましょう。

 

会社が倒産したときに従業員や取引先への対応で注意したいこと

会社が倒産するときには、従業員を解雇することや破産申立を行う予定であることを債権者に報告することが必要となります。

いつ従業員を解雇するのか、説明しなければならないことや雇用保険の受け取り方法など、いろいろと把握しておくべきことがあるため弁護士などに相談したほうが安心です。

それまで債権者から届いていた督促なども、弁護士に破産手続を委任すること届かなくなります

 

再び経営者として会社を立ち上げることは可能か

一度は会社を倒産させてしまい、経営者自らも自己破産してしまったけれど、再度会社を立ち上げ代表取締役として会社を経営することもできます。

ただ、信用情報機関には自己破産の記録が残っているため、初期投資を必要とする事業で会社を立ち上げることは容易ではないと留意しておくべきです。

 

長引くコロナ禍で倒産・自己破産の件数は増加する可能性大

従来までであれば、会社が新規に融資を受けるときには、6~7割の経営者が個人保証していました。

金融機関は債権保全リスクを前提として、保証が厚ければ厚いほど多く資金を貸し付ける傾向があります。

しかし万一会社が倒産してしまったときには経営者も共倒れしてしまうことになるため、経営者保証を減らすためにも会社の財務健全性や将来価値を高めていくことが必要です。

まずは会社と経営者の資金の流れを厳格に区分しておくようにしましょう。

新型コロナウイルス感染拡大により、実質無利子・無担保の融資も支援策として行われていますが、長引くコロナ禍で返済の見通しが立たない過剰債務を抱えた会社も少なくありません。

コロナが収束した後で、国がどのような支援策を打ち出してくるかはわかりませんが、それにより倒産や自己破産の割合が変わってくることになるでしょう。

長年続いた社長の個人保証を解除することは現実的に難しいですが、長期化するコロナ禍でさらに資金不足に陥らないように、個人保証に依存した資金調達方法ばかりに目を向けず他の手段にも目を向けることが必要です。