手形割引とファクタリングの違い

売掛金を引き合いに資金を取得する方法として、一般的に多く知られているのは手形割引です。
手形割引とファクタリングの違いを理解するために、まず手形割引について整理しておきましょう。

そもそも手形とは、物事の権限や権利を公に定めた文書全般を示します。ただ、一般的に用いられる手形とは約束手形のことを指しています。
約束手形は、「指定した日に事前に定めた金額を支払う」約束を、金融機関を通じて確約したものです。

金銭的に余裕があればこのような面倒な手段を利用する必要はないでしょうが、そのような恵まれた企業はほんの一握りです。 どの会社も少なからず、自転車操業による資金調達を余儀なくされていると言えるでしょう。

手形などの利用例は次の通りです。

約束手形の利用ケース

アパレルショップを営んでいるA社は、8/1にメーカーであるB社から50万円で洋服100着を仕入れました。
A社には仕入代金の50万円を全て支払えるほどの現金がなかったため、仕入れた洋服を売った収益から代金の支払いを行うことを考えました。

ここで登場するのが約束手形で、A社は3か月後である11/1に、B社に対し仕入代金50万円を支払う確約を行った手形を振り出し(発行)します。
この手形取引が成立するためには両者の同意が必要ですので、この件に関してB社も異論はないものとします。

11/1にB社がA社の発行した手形を銀行に持っていけば、約束されていた仕入代金50万円を引き出すことができる仕組みになっています。
A社の口座からは50万円が引き落としされます。

約束手形の一連の流れはこのような形ですが、実際のところ。手形を受け取ったB社にとっても3か月先まで入金を待つことができる経済的体力がない可能性もあります。
このような場合に利用される方法が「手形割引」で、A社から振り出された約束手形を担保として融資を受けることができます。

ただし形式上は借り入れをすることになりますので利息が発生します。
年利相当費用を手形割引率といいますが、メガバンクなら1.5~3.5%程度、信用金庫や信用組合で2.5~5.0%程分を差し引かれた上で現金を手にすることができる仕組みになっています。

手形割引の利用ケース

アパレルショップA社から仕入代金50万円に対する手形の発行を受けたメーカーB社は、運転資金を調達のためにこの手形の手形割引を銀行で受けることにしました。
この時銀行では、B社や手形の信頼性に対する審査が行われます。

後にB社は一定の割引率(3.0%とする)で割り引かれた現金(50万円-3%=48.5万円)を手にします。

仮にB社の信用度や手形の信頼性が低い場合には、金融機関で割引を受けることができないこともあります。
銀行から断られたことで民間の手形割引専門会社などを利用した場合、法外な20%程度の割引率などの提示を受けることも珍しくありません。

日本経済の潤滑化という部分で手形は様々な場面で利用されていました。
しかし審査の問題や換金するまで時間が掛かることなどで、より効率的で柔軟性のある手法が求められ、需要に答えた形となったものがファクタリングと言えるでしょう。

ファクタリングとの違い

前置きが長くなりましたがファクタリングと手形割引の違いという本題について考えましょう。
いずれも早期に現金化するという目的は同じですが、決定的な違いが2つあります。

不渡りリスク

まず1つ目に不渡りリスクの有無が挙げられます。
ファクタリングは債権買取ですので、売った債権が焦げついても関係ありません。

一売掛先会社が未払いや破綻という状態になっても、その保証義務は発生しません。
この場合には早めにファクタリング会社に売って良かったと肩を撫で下ろすことになることになるでしょうが、償還請求権が無いことで「ノンリコース型」と呼ばれています。

対して手形割引は融資契約ですので、銀行に捧げた約束手形は担保です。
担保の価値が消失すれば、銀行側は借りたお金は耳を揃えて返してほしいと追求してくることになります。

審査問題

2つ目は審査問題で、手形割引は銀行から見た場合には手形を担保とする融資の一種として扱われます。

そのため万一不渡りが起きた場合の保証能力の有無が重要視されることになるでしょう。

税金、保険などの未払い、債務超過、赤字決算といったマイナス要素が多ければ銀行から取り合ってもらえなくなる可能性が高いと言えます。

しかしファクタリングなら、審査は債権(売掛金)の信頼性に重点が置かれます。
仮に売掛金が未払いになればファクタリング会社が損をしてしまうので、あなたの会社の財務状況ではなく確実に回収できる債権かどうかを最重要視します。

ファクタリングは簡単・スピーディー

このように違いを並べた場合、ファクタリングの実用性も理解できたと思います。
審査に何の問題もない会社なら、融資や手形割引に代表される金融機関系サービスが最も調達コストを抑えることができるでしょう。