中小企業や規模の小さい事業者などが円滑に資金調達できる方法にポイントを置くと、近年ではがファクタリングという手法が注目されていることがわかります。
売掛金が入金されるまでが長く資金繰りが悪化しがちな企業や、銀行融資はまず難しいだろうと考えられる企業などに有効なのがファクタリングです。
ファクタリングは売掛金を使って資金調達する方法なので、カードローンやお金を借りる方法とは違うことも大きなポイントといえます。
そこでファクタリングを活用して資金調達に成功するために、どのようなことに注意すればよいのか押さえておきたいポイントをご説明します。
ファクタリングはここが魅力!
資金繰りの問題をファクタリングで解決したという企業は少なくなく、銀行融資を申し込んだけれど審査が通らなかったという場合でも資金調達に成功しています。
また、銀行融資では資金が調達できるまで平均しても一定時間がかかりますが、ファクタリングは早ければ即日資金を受け取ることができるなど、その迅速性の高さも注目されるポイントです。
どのような資金調達の方法?
ファクタリングとは売掛債権買取業務のことを指した言葉で、保有する売掛金をファクターと呼ばれるファクタリング会社に売却し現金化することで資金を調達する方法のことです。
取引先に商品を売ったりサービスを提供することで発生した売掛金を売却し、入金予定の期日よりも先に現金化させることで、入金までに発生する支払いにその資金を充てることができます。
低金利で貸付を行う銀行融資なども魅力ですが、いくら金利や利子が低いからといっても借金であることにかわりありません。
ましてやキャッシングなど高い金利の借り入れで資金調達してしまうと、返済負担に追われてしまい資金繰りがさらに悪化する可能性もある点がデメリットです。
しかしファクタリングは売掛金の売買により資金を調達する方法なので、負債を増やすことなく将来受け取る予定のお金を前倒しで受け取ることが可能です。
また、売掛金の管理や回収という煩わしい業務の手間から解放されることになるので、業務を軽減させる対策につながることも大きなメリットといえるでしょう。
ファクタリングの仕組み
資金繰りを改善させたいなら即効性のある方法のファクタリングがおすすめですが、資金調達に活用するならファクタリング会社に売掛金をいくらで買い取ってもらえるのか、そもそも買い取りは可能なのかまずは相談することが必要です。
ファクタリングでは売却対象となる売掛金の信用力により、買い取りの可否や買い取ってもらえる金額が決まります。
利用者よりも売掛先の信用力を重視した審査が行われることが、銀行融資で断られた場合でも利用可能となる理由です。
もし資金調達しなければならないのに、会社の経営状態が良好でなく、赤字決算や債務超過を抱えていたり、税金などを滞納しているので銀行融資は期待できず困っているという場合でも、信用力の高い売掛金を保有していれば資金調達に成功する可能性があるということです。
活用するなら3つのポイントを押さえておくこと!
ファクタリングを資金調達に活用するときには、次の3つのポイントを押さえた上でファクタリング会社に相談や見積もり依頼をしてみるとよいでしょう。
ポイントその1 資金調達のプロから業者を紹介してもらう
ファクタリングの仕組みはまだ日本で十分に周知されているとはいえず、貸金業のような法規制なども整備されていない方法です。
貸金業者からお金を借りるときには、利息制限法などの上限内の金利設定になっているか、貸金業登録を行っている業者かなど確認することで、悪徳業者かどうか見分けることができるでしょう。
しかしファクタリングの場合、利用する際に発生する手数料に法的な上限は設けられていませんし、ファクタリング業を営む上で必要な登録制度なども設けられていません。
そのためどの業者が正規なのか、悪徳業者なのか区別が難しい場合もあります。手数料の相場などを確認し、自分で法外な手数料や費用の請求がされていないか見極めなければならないのです。
このような場合、資金調達のプロに相談することで、ファクタリングの利用目的に合った優良なファクタリング会社を紹介してもらえます。
どのファクタリング会社が優良業者か見抜くことを難しいと感じるのなら、資金調達のエキスパートに相談してみると安心です。
ポイントその2 対応が早い業者を選ぶこと
ファクタリングをサービスとして提供している業者は数多く存在しますが、急いで資金調達しなければならない場面で、見積もりの依頼をしても時間がかかるなど対応が遅い業者はおすすめできません。
迅速に対応してくれるファクタリング会社を選ぶことが、1日でも早く資金調達を成功させるポイントとなります。
ファクタリング会社の中には、必要書類などが揃っていれば最短で即日現金化を可能とするケースもあるので、できる限り対応の早い業者を選ぶことをおすすめします。
ポイント3 複数の業者から比較・検討する
ファクタリング会社ごとに、提供しているサービスの内容や発生する手数料、特徴などそれぞれ違いがあります。
そのため見積もりなどを1社だけから取得してすぐに契約してしまわず、複数のファクタリング会社から請求して比較・検討したほうが、より目的や希望に合ったサービスを提供してくれるファクタリング会社を探しやすいですし、手数料なども安く抑えることができるはずです。
ファクタリング会社選びでここだけは気をつけたいという部分
複数のファクタリング会社をピックアップしたら、どのような項目を重視して比較・検討すればよいのでしょう。
比べるポイントはいくつかありますが、中でも注目したいのは次の3つです。
発生する手数料が大きなポイントに
ファクタリング会社によってどのくらいの手数料が必要になるのか違いがあります。
まず、ファクタリングには2社間ファクタリングと3社間ファクタリングがあり、このどちらを選ぶかによっても手数料は大きく異なると理解しておいてください。
2社間ファクタリングの手数料相場は10~30%程度であるのに対し、3社間ファクタリングは1~5%という割安の手数料でファクタリングの利用が可能です。
2社間ファクタリングの手数料が高い理由
2社間ファクタリングは、利用者とファクタリング会社のみで取引を行うファクタリングです。
売掛先にはファクタリングを利用することを知られたくないという場合に有効ですが、売掛金を現金化してファクタリング会社から受け取った後、売掛先からの売上代金の回収は利用者が行うことになります。
そのため売掛金の管理の手間を削減したいという場合には向きませんし、利用者が売上代金を回収した後はファクタリング会社にその代金をそのままスライドさせて渡す作業が必要です。
もし回収前に資金難などに陥ったとしても、売掛先から入金された売上代金は間違っても使い込んではいけないことを理解しておく必要があります。
ファクタリング会社側も、回収した売上代金を使い込まれるリスクを抱えることになりますので、3社間ファクタリングより手数料は高めに設定することになります。
2社間ファクタリングでは登記費用も必要に
2社間ファクタリングで資金調達する場合、ファクタリング会社から債権譲渡登記が必須であると説明を受けることがあります。
この債権譲渡登記を行うことで、売掛金という売掛債権の権利を誰が所有しているのか証明することができます。
売掛債権は目に見えない資産ですので、偽の請求書を使ったり虚偽の報告をされたり、同じ売掛金をまた別のファクタリング会社に持ち込んで売却しようとする人が出てこないとも限りません。
そのようなリスクを防ぐため、誰が所有者なのか証明しておくため、債権譲渡登記が行われます。
2社間ファクタリングで発生する手数料には、この債権譲渡登記に必要な費用も含まれるため、よけい高いと感じてしまうことになるでしょう。
債権譲渡登記のリスク
2社間ファクタリングを利用したいけれど、債権譲渡登記が必須となっているので余計な費用がかかるのはちょっと…。と思うこともあるかもしれません。
この債権譲渡登記は、登記を行う上でも費用が発生しますし、登記情報は一般の方なら誰でも閲覧できるということも知っておく必要があります。
不動産登記や商業登記などの登記情報は、法務局で誰でも閲覧することが可能です。債権譲渡登記も同様に、その情報は一般の方でも確認することができます。
ということは、売掛先が法務局に足を運び、自社の売掛債権が売却されて権利者が変更されている事実を知る可能性もあるということです。
また、銀行融資などを受けることを予定している場合、信用調査会社からの情報や、銀行が直接法務局で情報を取得することで、売掛金が売却されていることを知られてしまい、審査が通らなくなる可能性もあります。
さらに債権譲渡登記は設定するときだけでなく、抹消するときにも費用が発生しますので、その点を理解した上で契約することが必要となるでしょう。
ファクタリング会社の中には債権譲渡登記を行わず対応してくれるところもありますので、費用やリスクを抑えたいならそのようなファクタリング会社を選ぶとよいでしょう。
3社間ファクタリングなら手数料は抑えることができるけれど…
2社間ファクタリングと異なり、3社間ファクタリングでは売掛先も取引に加わります。そのため債権を譲渡する事実を売掛先に通知することになり、承諾を得た上で取引を始めるという形です。
売掛先から入金される売上代金は、直接ファクタリング会社が回収することになるので、売掛金の管理の手間を省きたいという場合には有効ですし、利用者を経由して代金を回収しなくてよい分手数料も低く設定されます。
ただ、ファクタリングという資金調達の方法によいイメージを抱いていいない売掛先などの場合、その後の取引に影響が及ぶのでは…と心配になることもあるでしょう。
売掛先にファクタリングを利用して資金調達することを知られてもよいという場合のみ、利用したほうがよい方法ともいえます。
償還請求権の有無にも注意を!
ファクタリングは償還請求権が発生する契約とそうでない契約があります。
償還請求権が発生しないファクタリング契約をノンリコースといいますが、多くのファクタリングはこのノンリコースによる契約です。
償還請求権とは、売掛先が倒産してしまったことでファクタリング会社が回収するはずだった金銭を受け取ることができなくなったとき、利用者にその費用を弁済してもらうように求めることを可能とする権利のことです。
ファクタリングに似た手法として挙げられることが多いのが、受取手形を割り引いて資金化する手形割引ですが、手形割引はこの償還請求権が発生する契約です。
もし手形の振出人が期日に支払いができず、不渡りになると手形に記載された額面金額すべてを負担しなければならなくなります。
しかしファクタリングは多くがノンリコースなので、償還請求権は発生せず、貸し倒れリスクはファクタリング会社が負う形で契約が結ばれます。
償還請求権が発生するファクタリングは一部保証と呼ばれる契約で、発生する手数料はノンリコースのファクタリングよりも安く設定されます。
償還請求権の有無もファクタリング会社選びで注目したいポイントですが、リスクの有無を取るのか、費用の高さに注目するのかなど重視したい部分を優先させることとなるでしょう。
手数料の安さや調達までのスピードだけを重視しないこと
手数料や対応のスピードはファクタリング会社選びで注目したい項目ですが、2社間ファクタリングなのに3社間ファクタリング並みの手数料の安さの場合や、必要書類の提出も面談もなにもなく契約が可能で即日現金を受け取れる場合は怪しいと疑うべきです。
先にも述べたとおり、ファクタリング業界は十分な法規制が整備されていないことで、違法行為を繰り返す悪徳業者が横行しやすい環境になっています。
そのため資金調達に成功させるには、この悪徳業者をファクタリング会社の選択肢に含めないことも重要です。
ファクタリングはどのエリアでも利用可能?
ファクタリング会社の9割以上は東京23区に集中しているので、その他のエリアの企業などがファクタリングを利用したい場合には、電話やメールなどでの対応がベースとなってきます。
ただ、どのエリアでも対応できるように支店などを設けているファクタリング会社もありますし、店頭まで足を運べない経営者に代わり、出張訪問に対応してくれるファクタリング会社もあります。
まとめ
ファクタリングは売掛金を売却することで、本来の支払日まで待つことなく現金を受け取ることができる資金調達の方法です。
比較的短時間で資金調達が可能になるため、担保や保証人などを必要とせず、緊急性が高い資金調達の場面でも対応できることがメリットといえます。
そしてファクタリングを利用する際の審査は銀行ローンなどとは異なり、売掛先の信用力が重視されることになります。自社の財務状況などに影響されにくいことや、取引先が倒産してしまった場合でも、その貸し倒れリスクを負うこともないことが手形割引と違う部分です。
ファクタリングで資金調達することにいろいろなメリットがあることもわかったし、すぐにでも活用してみたいけれど、どのファクタリング会社を選ぶのかでまた悩むことになるかもしれません。
実際、本当に資金調達に成功するのだろうか…と不安を感じることもあるでしょう。そのような場合、資金調達のプロに相談すること、複数社から見積もり依頼をして比較・検討することなどで、優良なファクリング会社からもっとも自社に合う業者を選択しやすくなるはずです。
また、ファクタリングは法人だけでなく、業者によっては個人事業主でも利用可能としてますので、柔軟な対応可能なファクタリング会社に相談してみるとよいでしょう。