資金繰り表とキャッシュフロー計算書の違いとそれぞれの使い方とは?


キャッシュフロー計算書は、現金の動きをあらわす収支計算書であり、資金繰り表と同じと考える方もいるようです。

しかしキャッシュフロー計算書と資金繰り表は実際には同じ書式でも作成の意味も異なるため、企業の財務分析においてどのような役割をはたすのか把握しておく必要があります。

そこで、企業の財務状況を改善させるときに分析の目安となる、キャッシュフロー計算書と資金繰り表の違いを徹底解説していきます。

 

資金繰り表とは?

資金繰り表は法律でその書式が定められているわけではないため、自由に作成が可能です。

事業に必要な資金が不足しないように、お金の流出入や残高を管理するために使います。

資金繰り表の特徴として、

  • 日々の資金残高を把握できる
  • 資金不足を予測し事前対応を可能にする
  • 不足する資金をいつ調達するべきかそのタイミングを知ることができる
  • 銀行融資の審査で必要となる書類

などが挙げられます。

作成はあくまでも任意のため、作らずに資金管理を行っている会社もあるでしょう。

しかし資金繰り表には過去の実績だけでなく将来の予測も記載していくため、いつどのタイミングでお金が不足するのか把握するためには必要です。

そして銀行から融資を受けるときには、資金繰り表を提出するように担当者から求められます。

スムーズに提出ができれば銀行の心証・評価は上がるでしょうが、事業計画書と整合した内容でなければなりませんので注意してください。

 

キャッシュフロー計算書とは

そもそもキャッシュフローとは資金の流れのことですが、会社にどのくらいのお金が入金され、反対に支払いなどで出たのかを知る上で作成するのがキャッシュフロー計算書です。

キャッシュインとキャッシュアウト後の残りがフリーキャッシュフローであり、会社の財務力や経営における健全性の目安となる自由に使える余剰資金であることを意味します。

キャッシュフロー計算書は決算ごとに、事業年度・四半期・半期など会計期間を単位として作成していきます。

上場企業などは2000年3月期の決算から作成・開示が義務付けられていますが、上場していない中小企業などには作成義務はありません。

ただ、キャッシュの増加・減少の実績を確認する上で必要になるため、作成義務はなくても作っておいたほうがよいでしょう。

 

中小企業に作成義務はなし

キャッシュフロー計算書は、上場していない中小企業であれば作成義務はありません。

ただ決算において作成する貸借対照表と損益計算書では業績管理はできても、現金の流出入の原因までは把握することはできず、正確な財務分析は難しいといえます。

しかしキャッシュフロー計算書を作成しておけば、現預金の増減の原因を確認できるため、何が経営課題なのか把握し解決する策を立てやすくなります。

なお、キャッシュフロー計算書は資金繰り表と異なり、直接法と間接法のいずれかの書式で作成することが必要です。

 

資金繰りとキャッシュフロー計算書の使い方

キャッシュフロー計算書これまでの現金の流出入について把握できるのに対し、資金繰り表は現在のお金の動きを把握するときや、将来的な資金の流れを予測するときに使用します。

具体的には次のような使い方をしていくと、企業の財務分析に役立てることができます。

 

将来の資金予測に必要なのは資金繰り表

資金繰り表には過去の現金の流出入だけでなく、次にいつ・いくら売掛金が入金されるのか、買掛金をいつ・いくら支払う必要があるのかなど将来的なお金の流れも記載していきます。

そのために将来的な資金残高を予想するときには資金繰り表を使いましょう。

理想的なのは半年から1年先の経営計画を作成し、その数値を記載しておくことです。

資金繰り表でどのくらいのお金が手元の残ることになるのか確認し、手元の資金が不足しないように資金を調達するようにしましょう。

 

過去の実績分析にはキャッシュフロー計算書

キャッシュフロー計算書は過去の資金の流れを把握できるため、なぜ資金が増減したのか原因を把握し、改善させていくべき部分を知り見直すときに使います。

財務の健全性を確認しながら、必要に応じて区分ごとのキャッシュフローを改善していくことが必要です。

キャッシュフロー計算書は次の区分に分けることができるため、区分ごとになぜ赤字になっているのかなど原因を把握し、その理由が適切か検討していきます。

 

営業活動によるキャッシュフロー

本業で稼ぎだした資金をあらわすキャッシュフローであり、仮に営業活動によるキャッシュフローが赤字なら経営改善を必要とする状況と判断できます。赤字が慢性的に続いている場合には、会社の存続そのものが難しくなるリスクが高いといえるため、戦略を立てた上での改善が求められます。

 

投資活動によるキャッシュフロー

営業で獲得した資金を将来のためどのくらい投資しているか確認できるキャッシュフローですが、固定資産の購入なども含まれます。

適切な投資であればマイナスを表示しますが、営業活動によるキャッシュフロー以上の投資が発生していれば不足する資金の調達が必要となります。

 

財務活動によるキャッシュフロー

本業の活動や投資活動を維持するため、どのくらいの資金を銀行からの融資で調達し、反対に返済したかをあらわすキャッシュフローです。

主に借入金の増減を示すため、借入金で資金調達したときにはプラス、稼いだキャッシュで返済できていればマイナスをあらわすことになります。

 

まとめ

資金繰り表とキャッシュフロー計算書は、どちらも会社の資金を管理する上で必要なツールであることは共通しているものの、厳密には使い方が異なります。

キャッシュフロー計算書は決算書を構成する財務諸表の1つであり、過去の現金の流出入など実績を把握・分析する上で有効な書類といえます。

それに対し資金繰り表は、過去の現金の流出入だけでなく、将来的な入金・出金の予測も把握できる書類です。

いつ資金が不足してしまうのか、どのタイミングで調達しなければならないのか把握するときには資金繰り表を使います。

健全な経営を続けるためには、キャッシュフロー計算書と資金繰り表のどちらも活用し、財務状況を改善させていくことが必要です。