建設業が財務分析する上で注意したいこととは?


建設業は、今自社がどのような状況にあるのか把握するためにも、財務分析を定期的に行うようにしましょう。

なお、税務申告用の財務諸表のままでは建設業許可申請・決算変更届・経営状況分析申請などに使用できないため、建設業会計に基づいた作成が必要となります。

その上で、建設業が財務分析をすることでどのようなメリットがあるのか、何を用いて分析していけばよいのか徹底解説していきます。

 

建設業が財務分析をするメリット

建設業が財務分析を行うメリットとして、数値化された財務指標から直近の収益性や財政状態を把握でき、実績や競合他社との比較による立ち位置を確認できることが挙げられます。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で経営環境が変化する中、以前よりも利益率が悪化している建設業も少なくありません。

そこで、経営成績の状況を判断することや資金調達を負債に頼りすぎていないかなどの把握が必要となり、将来的な経営改善につなげることができます。

 

建設業での財務分析の基本

建設業が行う財務分析では、

  • ・損益計算書
  • ・貸借対照表
  • ・キャッシュフォロー計算書

という財務三表を理解することが必要不可欠です。

その上で、に記載されている数値は適正で実際の状況に即しているか確認しましょう。

 

まずは建設業の特徴を把握しておくこと

建設業とは、建設工事を完成するための仕事を請け負う事業ですが、建設業法に規定されている建設工事の完成を請け負う事業です。

専門分野も多岐に分かれおり、左官工事・大工工事・土木工事・電気工事・管工事など様々な種類があります。

工事を依頼する施主から元請へ工事が発注され、元請から下請へ、下請から孫請へと工事が発注され実際に作業が行われます。

そのため同じ建設業でも、元請・下請・孫請・ひ孫請などどの立ち位置かによって、利益率は変わってきます。

近年は大手ゼネコンを中心に、受注から造注へという流れも起きています。

建設業を営む企業の多くは建売住宅や分譲マンションなどを自らが建設し販売することも多いため、不動産業で必要となる宅地建物取引業の免許も必要になることや、同グループ内に不動産会社を有しているケースも多く見られます。

 

注意して分析したい経営指標

建設業は基本的に受注型で仕事を請け負うため、デベロッパーや公官庁からの案件を受け、工事を行って収益を上げる事業です。

しかし建物を建てたいといったニーズがなければ成り立たないビジネスのため、建設需要をどのように取り込んでいくか事業を成功させるカギとなるでしょう。

その上で注意して分析したい経営指標・財務指標として挙げられるのは、

  • ・売上総利益率
  • ・売上高成長率
  • ・営業利益率
  • ・経常利益率
  • ・売上債権回転日数
  • ・仕入債務回転日数
  • ・棚卸資産回転日数
  • ・運転資本
  • ・損益分岐点売上高

です。

一般的な製造業とは異なり、売掛債権には一般会計の売掛金に相当する完成工事未収入金が含まれ、支払債務には工事未払金が含まれることといえます。

長期に渡る建設プロジェクトもあるため、短期的な流動性を判断できる流動比率や自己資本の安全性を確認できる自己資本比率なども指標として用いり、分析することが必要です。

 

建設業ではなく製造業での財務分析では?

日本はものづくりの国といわれるほど、製造業の力が大きく影響することが特徴です。

しかし輸入品に頼る業界も増えたため、今の製造業界は世界との競争激化により、大変厳しい状況になっているともいえるでしょう。

原材料などを加工し、製品を生産・提供する産業が製造業であり、鉱業・建設業とともに第二次産業を構成する一大分野といえます。

工業でも重工業から軽工業まで幅広く分類されていますが、製造業でも電気・機械・化学・素材・重電など業種が多岐に渡ります。

原材料を購入し、設備を利用して製品を生産し、法人または個人など顧客へと販売するのが主なビジネスの流れです。

従来までは少品種多量生産が主流だったものの、ECサイトなどが発展し個人の趣味の多様化したことで、多品種少量生産や高付加価値製品が主流となりつつあるといえるでしょう。

 

・製造業で注意して分析したい経営指標・財務指標

製造業では、

  • ・売上総利益率
  • ・売上高成長率
  • ・営業利益率
  • ・経常利益率
  • ・EBITDA
  • ・EBITDAマージン
  • ・当期純利益率
  • ・売上債権回転日数
  • ・仕入債務回転日数
  • ・棚卸資産回転日数
  • ・運転資本
  • ・損益分岐点売上高

などを経営指標・財務指標として活用しましょう。

製造業では、主に設備など多額の固定資産を利用して製品を作っていくため、減価償却の負担も重くなりがちです。

設備投資や研究開発などにも資金が必要となるため、銀行など金融機関からの借入れで事業を続けていくこととなるでしょう。

そのため資本構成の影響が反映される経常利益や、資本構成・税金・償却の負担を排除し分析できるEBITDAなどを経営分析の指標として用いることも必要です。

 

まとめ

建設業は業界の特性を理解した上で、財務分析を行うことが必要です。

建設業界の特設として重要となるのは、

  • ・受注請負型産業であること
  • ・生産期間が長いこと
  • ・労働力に頼る単品・移動産業であること
  • ・下請制度に依存しやすいこと

の4つです。

適切な指標を活用しながら、何を改善させていくべきか問題点を洗い出すようにしましょう。