運送業は経営が厳しい?中小企業の現状と解決させていかなければならない課題とは


インターネット通販が当たり前のように利用されるようになりましたが、運送業を営む中小企業なども宅配便市場の伸びは無視できません。

その反面、運送業そのものの規模は縮小傾向にあるとされており、中でも中小企業に対する風当たりは強いといえます。

どれほど運送業を続けたいと考えても、やむを得ず事業をやめなければならない状況に追い込まれる中小企業も少なくありません。

そこには運送業ならではといえる資金繰りの難しさが関係していますが、特に資金体力の低い中小企業はどのような状況にあるのか、その実態について解説していきます。

 

中小の運送企業の現状

ここ数年、急激に伸びを見せているのが宅配市場で、インターネット通販の急拡大にともなったものといえるでしょう。

運送業のけん引役になっていることは間違いないといえますが、送料無料や当日配送など過剰なサービス運送業者の負担が重くなっているのも事実です。

総量は増えているに荷物を運ぶドライバーは不足しているため、利益に結びつかないだけでなくドライバー1人の負担が重くなっています。

現在は燃料費が高騰している状況でより収益が出にくい状況となっており、もともと保有車両数が少ない中小の運送事業者は特に厳しい経営を迫られているといえるでしょう。

 

原油高が中小の運送業者に与える影響

原油高の影響は地方経済に拡大しており、ガソリンや軽油の価格が高騰していることで運送業への打撃は大きいものとなっています。

重油など他の燃料も値上がりしており、漁船などのコストも上昇中です。

ただでさえ厳しい状況であるのに対し、燃料費の高騰がさらに追い打ちをかけている状況といえるでしょう。

2021年11月時点で全国的にガソリン価格は高騰しており、レギュラーガソリンでも170円を超えています。

トラックの主要燃料は軽油ですが、その価格は1年前と比べると1.5倍に跳ね上がっており、燃料費全体では3割増という状況で営業利益も減少している厳しい状況です。

燃料費高騰をカバーするには価格転嫁が必須となりますが、顧客も円安による原材料の高騰に苦しんでいるため、値上げに応じてもらえない運送会社もすくなくありません。

 

そもそも運送業は資金繰りが悪化しやすい

もともと運送業の資金繰りは悪化しやすいといえますが、運送業を営む中小企業の資金繰り悪化の理由は主に次の5つが挙げられます。

  • ・支払いサイトが長いこと
  • ・無理な対応を引き受けざるを得ないこと
  • ・車両事故・トラブルが起きるリスク
  • ・燃料費の高騰の影響を受けやすい
  • ・深刻な人材不足

それぞれどのようなことなのか確認しておきましょう。

 

支払いサイトが長いこと

取引代金の締め日から支払日までの期間支払いサイトといいますが、たとえば月末締め翌月末払いであれば30日間の支払いサイトとなります。

運送業の場合、支払いサイトが長めであることが多く、2~3か月待たなければ代金を回収できないこともめずらしくありません。

さらに決済に手形が用いられることもあり、さらに代金回収までの期間が伸びがちです。

取引から支払い日までの期間が長ければ、実際稼働するためにかかった費用を先に立て替えることとなり、人件費・固定費・燃料費・税金など先行する支払いに充てる資金が必要となります。

仕事量が増えれば立て替えなければならない金額も大きくなるため、手元の現金が不足しがちとなり資金繰りを悪化させやすくなるといえます。

 

無理な対応を引き受けざるを得ない

運送業を営む企業でも中小企業の場合、取引先と良好な関係を継続するために、ときには無理な要望に応じなければならないこともあります。

急な仕事の依頼や要請があっても対応しなければならず、そのことが資金繰りを悪化させる引き金となることもあるようです。

無理な要望への対応で必要となる人材確保にもお金が必要となるため、赤字経営が続く中小企業の場合には立て続く出費で資金繰りが困難になってしまいます。

 

車両事故・トラブルが起きるリスク

運送業では常にトラックを使い、運転する業務が発生します。

交通事故が発生したときや顧客の荷物を破損させてしまったときのリスクを事前に踏まえた上で、備えを行っておくことも必要です。

事故が起きたときに損害賠償や、事故を未然に防ぐための整備や車検なども適切に受けるなど、想定していたよりも費用がかかり資金繰りが悪化することもあります。

 

燃料費の高騰の影響を受けやすい

運送業で使うトラックはガソリンや軽油など、燃料がなければ運転することも道路を走ることもできません。

先に述べたとおり、燃料費が高騰すれば運送業の経営には直接的な影響を及ぼすこととなるでしょう。

燃料が値上がっても運賃価格に転嫁できれば特に影響を受けないでしょうが、交渉に応じてくれる荷主は多くありません。

燃料費が上昇するたびに危機感を募らせる運送事業者も少なくない上に、支払いサイトの長期化で資金繰りが悪化してしまいます。

 

深刻な人材不足

運送業界は深刻な人材不足に悩まされている状況であり、トラックを動かすドライバーがいなければどれほどよいトラックを保有していても意味がありません。

トラックを動かすドライバーはいなくても、トラックを保有し続けるするため維持費や税金などのコストはかかり続けます。

さらに今運送業で働いているドライバーも高齢化が進んでおり、ドライバーの平均年齢の高まりでより人材不足は深刻化しているといえるでしょう。

 

運送業を営む中小企業が資金繰りを改善させる方法

運送業を営む中小企業が資金繰りを改善させるためには、悪化に気がついたときに次のような対応を行うことが必要です。

  • ・小口の売上を増やす
  • ・固定費を削減していく
  • ・取引先に支払い期日を延ばしてもらう
  • ・金融機関に追加融資やリスケジュールを依頼する

コスト削減など自社努力はもちろん必要であり、あわせて銀行に融資してもらったりリスケジュールに応じてもらったりといったことも必要となるでしょう。

ただし事業計画書の作成などが必要となるため、すぐに対応してもらえるとはいえません。

このような場合には、支払いサイトが長い売掛金を現金化し、資金調達するファクタリングなどで手元の現金を増やすことも検討しましょう。

いずれにしても会社の現状や実態に応じ、適切な対応方法を検討することが必要です。