融資を受けて安心せずに資金繰りの見通しを立てることが重要である理由


たとえば100年以上続く老舗企業でどれほど巧みな技を保有していたとしても、経営環境の変化で資金繰りの見通しがつかなくなれば事業を継続することはむつかしくなります。

企業の年数に関係なく中小や小規模の企業は体力も十分でないため、資金繰りが悪化しやすく、調達の見通しがたたなければすぐに危機的な状況に陥ることとなるでしょう。

現在は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、資金繰りが悪化してしまった企業も少なくない状況であり、いつ事態が完全に収束するのか見通しも立たないため不安を抱えている経営者も少なくありません。

 

企業規模に関係なく自社を知ることがまずは大切

コロナ禍による経営環境の大きな変化があっても、自社にしかない強みを活かすことのできるポイントやタイミングを把握でき、手元に十分な資金があれば事業を続けることは可能です。

100年以上続く老舗であり、現在も事業を続けることができている企業は、バブル崩壊やリーマンショックなどの環境変化にも対応できていた企業といえます。

会社の規模に関係なく、外部環境の変化に対して前向きに対応を継続してきたからと考えられます。

そして資金繰りの見通しを立て、再構築に向けて取り組む企業もありますが、まずは自社の余力を知ることが必要です。

 

資金繰りの見通しを立てることが重要

運転資金は人の身体にたとえれば血液と同じ存在といえます。人は血液の流れが滞れば様々な病気を発症しますが、企業にとっても資金繰りが悪化すれば事業は回らなくなるでしょう。

そして2020年、新型コロナウイルス感染症が急速に流行し、緊急事態宣言が発せられパニック状態が起きてしまいました。

政府は中小企業に最大200万円、個人事業者には最大100万円持続化給付金という制度を開始し、人にとって緊急輸血といえる制度で多くの事業者が助けられたといえます。

売上は低迷してしまったけれど、資金が給付されたことでパニック状態から落ち着きを取り戻した事業者も少なくありません。

他にも政府系金融機関や民間金融機関の実質無利子・無担保融資なども拡大され、目先の資金繰りは一旦落ち着きを取り戻すことができました。

しかし安心して立ち止まっているだけでは、この先の見通しは立たないままです。

そのため、

  • ・資金的余裕とは何か
  • ・現段階で行うべきこと
  • ・再構築させる方法

について考えることが必要といえます。

 

資金的余裕とは何か

新型コロナウイルス感染症対策の融資では、元本返済の猶予期間が設定されています。

据置期間を設定していた場合には、その猶予期間中に元本の返済ができる状態に再構築させることが必要です。

再構築した事業を収益化し、元本返済に耐えることができる状態にもっていくためのタイムリミットは、最大でも据置期間が終了するときと留意しておくべきでしょう。

融資を受けて調達した資金は余裕資金と考えず、あくまでも時間稼ぎでありその間に状態に安定させなければいけません。

 

現段階で行うべきこと

先の見通しを立てるために、まずは資金繰り計画表を作成しましょう。

売上計画を立てることが困難なケースもありますが、売上はなくても家賃や人件費、税金や借入金の返済など毎月発生する費用は洗い出すことができます。

おおよその売上による資金流入と、仕入や外注費など流出する資金を書き出し、先の予測を立てておくことが必要です。

たとえば売上は前年同月比をもとに、楽観的予測・考えられる予測・悲観的な予測の3種類の資金繰り計画表を作るとよいでしょう。

資金繰り計画表を作成することで、いつ手元の資金が底をつくのか時間軸で現実を直視することができます。

 

再構築させる方法

コロナ禍で大きなダメージを受けたのは、事業規模の小さい宿泊業や飲食サービス業などです。そして建設業や製造業も、深刻な資金的影響が出ています。

現状に立ち止まることなく、資金に余力がある段階で事業を再構築していくことが必要です。

ここで活用したいのが「事業再構築補助金」で、新分野展開・業態転換・事業・業種転換・事業再編・これらの取り組みを通じた規模拡大など、思い切った事業再構築を意欲的に取り組もうとする中小企業などの挑戦を支援する補助金です。

  • ・売上が減少している
  • ・事業再構築に取り組む目途が立っている
  • ・認定経営革新等支援機関と策定した事業計画を立てている

といった要件を満たす場合に活用できます。

第4回の電子申請の申込締切日は2021年12月21日(火)18:00となっており、2021年度内に合計5回の申請受付が予定されていますので、申請してみるとよいでしょう。

 

まとめ

事業を続けるために運転資金を枯渇させない、先の見通しを立てた資金繰りが重要です。

コロナ禍で厳しい状況に陥った中小企業も少なくありませんが、新型コロナ対策として準備された制度により、資金調達に成功した企業も少なくありません。

しかし借入れによる資金調達は余裕資金ではなく、あくまでも延命措置と考えるべきです。

今やらなければならないことは何か把握し、将来的な見通しを立てた上で資金繰りを円滑化させ、事業を再構築させていける制度などうまく活用していきましょう。